Vol.45 金次郎から澤 洋人へ



 昨年初夏のころ,当コラムで『走れ!金次郎』を書いた。『長距離深夜便』を歌っていた澤 金次郎さんへの応援メッセージだった。その彼が昨年末にホリデージャパンから『粉雪の街』リリースを契機に芸名を司 洋人に改名した。ホリデージャパンの会長の命名だという。本名寺島茂樹、広島出身だから『歌ってつかーさい!』なのかもしれない。はじめは本名で歌手活動を開始したがその後、秀見 朗から秀実 朗へと名を変え、2008年『長距離深夜便』リリースの折に澤 金次郎となった。だから今回で5回目の改名となる。改名は珍しくはないがあの五木ひろしさんは確か3回名を変えた。




 デビュー以来『夢ほたる』『海峡ほたる』『恋ほたる』など発表し、2002年には板橋新人音楽祭で準グランプリを受賞したこともある。その後外国から日本の演歌を発信したいとの思いでアメリカに渡ったりもしたが夢半ばで帰国し、以来ホリデージャパンに所属し精力的に歌手活動をつづけてきた。昨年5月町田のカラオケ発表会にゲスト出演の彼のステージを初めて見た。その時『坂本九ちゃん』似だと思った。その彼を長年応援している竹内ゆりえさんのコーディネートでこのたび大和市内のスナック『夢一輪』に新曲キャンペーンでやってきた。その集いに私にも声がかかった。




 高橋直人作詞、島浩二作曲『粉雪の街』。北国が舞台のこの曲を彼は情感たっぷりに歌唱した。カップリング曲は夢ユメ子作詞、寺山茂樹作曲『夢のふるさと』。寺山茂樹は司 洋人の本名だ。一曲は自分の作品をリリースしたかったようだ。彼は作曲、編曲もよくする。『瀬戸の島』は未発表曲だがこれは作詞作曲だ。デモテープを聞いてみたが斬新な旋律であった。改名をチャンスに彼の更なる活躍を期待している。いつかどこかでご一緒のステージに立ちたいものだ。

2012.02.02

Vol.44 異端にして少数派の紅白歌合戦感



 昨年大晦日の第62回NHK紅白歌合戦を二度見た。生放送と録画でだ。四時間半、録画で見るのもなかなか大変だった。全体の印象は身内ながらさすがの演出力、技術力破たんなく完璧だったと思った。そのうえで私的感想、紅白論を記してみる。多分私の『紅白』の見方は『正統派』だが『少数派』と思っている。いまどきも演歌党だし、出場演歌歌手の少ないことをまず残念と思っている立場だ。かつて紅白は90%は演歌だった時代から見ている者にとっては淋しい。だから独断と偏見がある。それに数少ないが総合司会の経験、テレビ中継、ラジオ中継を足し算すると8回ほどの紅白スタッフ参加体験者の『昔懐かしい』思いからの発言となる。

 感想の一つは『NHK紅白歌合戦』というより『NHK大晦日紅白歌の祭典』あるいは『NHK大晦日音楽祭』もしくは『NHK大晦日歌手祭』だったのではあるまいか。紅白の司会の進行、総合司会の絡み方からして『対立』ではなく『融合』構造になっていた。つまり司会進行は集団でのコンセプトになっていた。また芦田愛菜ちゃん鈴木福君の『こどもスペシャル』、夏川りみさん秋川雅史さんの場面、嵐中心で紅白有志による『ふるさと』コーナーもいわば『合戦』ではなく『コラボレーション』シーンだ。その分『対立、対決』はあいまいとなる。固定観念の抜け切れない私には『部分』はよいのだが『全体像』がつかみにくいというのが実感だった。『勝敗』に向かって『一直線』でないからだ。紅白歌合戦と銘打つのなら一曲毎の対決対戦、司会の舌戦もより必要だ。

 また長淵剛さん、聖子さん沙也加さん、福山雅治さんのコーナーはNHKホール外からの中継、『ガガさん』の歌唱もアメリカからの録画映像だった。私は紅白歌合戦の魅力は『密室性』にあると考えている。『ホール』と『茶の間』の直線的な繋がりが理想だ。紅白未体験の多くの歌手たちは『NHKホール』で歌いたいのだ。中継によって『方向』が分散したと思う。別の言い方をすれば『中継』は『茶の間』に向けられてなく『司会者たち』を向いていたように見える。今回のテーマは『あすを歌おう』。東日本大震災被災地被災者の復興への激励の思いが最大の眼目だ。それゆえ当然なのだが被災地、被災者の『取材場面』が随所に挿入されたがこれも結果として『密室性』を損なっていたように思う。

 視聴率についても感想がある。5分間のニュースを挟んで一部二部に分けて発表しているがこれも第一部35.2%第二部41.6%を平均して38.9%でいいのではあるまいか。前年より僅かに下がったようだがそれでも立派だ。あるスポーツ紙が日テレの『家政婦のミタ』の40%と比較して『勝利』と書いていたが通常番組と祭典番組を比べて云々するのはいささか不適格だと思う。もう一点歌手別の視聴率の発表があるが『演歌』は一様に相対的に低く演歌党としては淋しい限りだが、これも失礼かつ不要だ。

 こうしてみると私は『正統派』だが『少数派』と前述したがもはや『異端』にして『少数派』なのかもしれない。今や氷川きよしさんが『演歌』ではないとすると唯一の若手の演歌歌手は水森かおりさんのみだ。これでは数多の『紅白出場』を夢見る男女演歌歌手からは『紅白』はあまりに遠い遥かな『スターステージ』になってしまっていると思う。だから年に必ず『新人』一人をと願うものだ。こんな風に思うのも『少数派』の詮なき『つぶやき』なのだろうか。

2012.01.15

Vol.43 昭和の匂い五条哲也



 昭和の匂いのする歌手がいる。京都出身五条哲也だ。古いのではない。懐かしい昭和の情感のある平成の歌手だ。デビューは平成7年。『さすらいおはら節』『男さすらい派』。第2作は『旅路の花』『デカンショ放浪記』そして第3作が『北へ流れて』『指環のあと』。さすらい、旅、放浪北、おはら節、デカンショ節。なんだか往年の小林旭さんの香を漂わせる『タイトル』だ。それもそのはず声も唄い振りも顔立ちまで似ている。無論それが魅力であり武器だが同時に乗り越えねばならない厚く大きな『壁』でもある。本人も承知のことだ。先日クリスマスの夜『五条哲也2011ライブイン青山第5章』があり私が司会を務めた。第3章からだからこれで3度目だ。会場は歌手の松前ひろ子さん経営のレストラン。そこに彼女の事務所もある。ご主人は作曲家でヒットメーカーの中村典正さん。所属歌手は今がまさに旬の三山ひろしさん。実はこの会場で5年前私と藤森さんのデュェット曲『ヨコハマ恋物語』全国大会を開催し30組のペアが参加してくれた。後で聞いた話だがその時ウエイターをしてくれていたのがデビュー前の三山ひろしさんだとか。レストランのボーイが今やスター、これが世の中というものだ。




 五条哲也さんのライブは彼の持ち歌中心の構成だが、彼が挑戦したい楽曲ということで、森進一さんの『昭和流れ唄』石川さゆりさんの『人間模様』ちあきなおみさんの歌だが五木ひろしさんも歌っている『赤い花』もしっかり歌い切った。さらに『五条と言えば小林旭』とのお客さんの要望に応えて『純子』『お世話になったあの人に』を旭節哲也節をうまくミックスして歌唱した。なかなかの実力派だ。インタビューで私は聴いた。この一年を漢字一文字で表現すると何?彼は『謝』と答えた。感謝の謝だがファンや応援者の期待に充分応えきれなかったことへの『詫びる』思いもあるのだという。ならば新しい年はと重ねて尋ねると『動』。精力的、積極的に『行動』『動く』の『動』だ。キャンペーンを含め日本全国を動くと力強く言った。




 この日のゲストは一人だけだった。『えくぼ輝くさわやかさやかの』神園さやかさん。彼女とは今年八月末に渋谷にあるユーセンのスタジオで出会って以来だ。クリスマスらしくサンタクローススタイルで『初めての人』と『道~ふるさとから遠く離れて』をその名の通り『さわやかさやか』に歌ってくれた。さて五条哲也さん次の作品をあれこれ思案中とのことだ。さっき記した『人間模様』も『赤い花』も杉本真人さんの作曲作品だ旋律に魅せられるものがあるからだ。出来れば次作の作曲は杉本真人さんにとひそかに願っているようだ。好青年五条哲也の活躍祈るや大である。そして拙い文章のブログにお付き合いいただいた方々にこころからの感謝とどうかよいお年をと念じる次第だ。新年の私の思いは『自然』『自分』『自由自在』の『自』に己の生き方を込めてみたいと思っている。ありがとうございます。




2011.12.31

Vol.42 養老渓谷



 私の歌の相棒、歌手で作曲家の藤森美イ予さん。彼女とは今年もあちこちで競演した。真夏の三重県川越町、四日市、名古屋。秋の茨城県鹿島市、町田。12月に入って相模大野グリーンホール。その藤森さんが新曲たきのえいじ作詞、藤森美イ予作曲『養老渓谷』で奮闘中だ。『養老』といっても岐阜県の『養老の滝』ではない。千葉県南東部房総丘陵東部の町大多喜町、元松平氏2万石の城下町、養老渓谷とはこの町の紅葉の名所だ。

 この大多喜町は江戸時代には人口1万を誇っていたというが現在も江戸時代と同じ人口だ。つまり今は昔となった江戸時代の隆盛とまではいかないにせよ、大多喜町と景勝地『養老渓谷』を全国に売り出したい。歌で大多喜を『元気に!』、そんな願いで地元の吉野三次さんが音頭を取って、かねてからの知人の作詞家たきのえいじさんに『作詞』を依頼し愛弟子の藤森さんが作曲と歌唱することになったのだ。だから『養老渓谷』は町おこし『ソング』だがご当地限定の地元ソングではない。吉野さんの尽力で町も大いに力を入れ、これまでに町内4か所の他鉄道いすみ線の『大多喜駅』や小湊線の『養老渓谷駅』でもキャンペーンイベントを実施したという。

 曲はしっとりと情感たっぷりに仕上がっている。聞かせどころ、つまり歌いがいのあるフレーズもあって、すでに愛唱されている。いつもながら精力的な藤森さんのこと、大多喜町はじめ彼女の故郷三重県内、名古屋、横浜でも各お店を回っている。手ごたえも十分のようだ。カラオケ配信もされ後はさらに多くの皆さんにCDを購入していただき、カラオケで歌って、出来ればカラオケ大会には是非この曲で挑戦して欲しいと願っているようだ。新春に向かって龍のごとくヒットの飛翔をと年の瀬に当たり相棒として祈るばかりだ。

2011.12.16

Vol.41 紫岳華麗に参上



 相模原に志田紫岳という歌手がいる。女性歌手だ。紫岳とは男性の名前のようだが、詩吟の名取りの名前、かつてコロンビア主催『全国名流吟詠大会』で日本一に輝いたこともある。彼女を、演歌の世界に導いたのは6年前まだご存命だった作曲家市川昭介先生。『特徴のあるその声』を演歌でも活かしてみたらとアドバイスされたのだ。デビュー曲は『花ごころ』と『雨』。二曲とも先生の作品だ。演歌転進といっても詩吟が本道、コロンビアレコードでは『邦楽部』所属だ。だから『紫岳』の名そのままでのデビューだ。彼女とは『花ごころ』デビューのころ一度相模大野グリーンホールでご一緒した。その時司会の私はステージで彼女の戸惑いを助けたらしいのだが記憶にない。そしてこのたびもグリーンホール、今回はNHK大河ドラマ『江』に因み『お江三代記』、吟詠を交えたスケールの大きな作品を引っさげての登場。デビュー七周年記念ステージという位置づけで持ち歌を中心に『ああ無情』『愛のままで』など七変化華麗に自在に歌い切り、伝統芸に裏打ちされた底力を聞かせて見せた。本来は春先のリリースを目指したのだろうが発売は十月半ば過ぎ、ご本人も少し残念そうであった。


 紫岳さんは『FMさがみ』で番組を持っている。土曜日の朝八時からの30分番組でタイトルは曲名の『志田紫岳の花ごころ』。この番組に先日声をかけてくれた。歌手吉川精一としての出演だ。番組の進行は紫岳さんとマネージャー的な中村さん、DJネーム『朝太郎』と名乗っての進行だ。彼は青森県六ヶ所村出身でところどころに『なまり』がありそれが特徴の『紫岳と朝太郎』はよきコンビとお見受けした。紫岳さんの何があっても口癖『そんでもって』もなかなかいい。私は自分の曲を一曲でも紹介してくれたらうれしいとの思いで伺ったがBGM風に四曲は有難い。その上に『アナウンサーの言葉訓練術』なども披露することになり、これにはいささか戸惑った。私は現役アナウンサー時代から『早口言葉』が大の苦手で出来るだけ『近ずかない』ようにしていたからだ。


 この日折角ということで2本収録、つまり2週連続となったが、スタジオにそのままいればいいので喜んで居つずけた。楽しいひと時であったが惜しむらくは志田紫岳さんの番組なのに新曲『お江三代記』と『恋唄』を聞くことが出来ず残念であった。彼女に少々遠慮があるのかもしれないが毎回自分の曲はせめて『2コーラス』でも流す方がよいと思った。番組の更なる発展と何よりも彼女の新曲のヒットを祈る。




2011.11.30

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